キャラクターの演じ分け①
「何をやってもあなたにしか聴こえない」
こんなふうに言われた経験はありませんか?
初心者どころか事務所に預かりになるくらい実力をつけても言われてしまうことがある一言です。
それでは、何をすれば、どういった点に気をつければ表現に差がつくのか。
今回は上記について私の考えを紹介していきます。
「地声」ではなく「素声」
キャラクターを演じ分ける際に重要なのは、「地声」で演じること。
などと巷で言う人がいます。
声を変えることなく、演技によって別人を表現する。
ということなのですが、そもそも「地声」とは「声区」のジャンルの一つであり、対極に位置するのは「裏声」です。
ということは、どんな声でも裏声でなければ、それはあなたの地声なのです。
では有識者の言う「地声」とはなんぞや、というと「素で喋っているときの声」のことなのです。
つまり「素声」です。
普段、誰かと会話をしているときに自然と出している声が「素声」です。
では、「素声ではない声」とはなんでしょうか。
普段よりも「力が入っている」or「力が抜けている」声のことを「作った声」と表現しているのです。
映画「ハウルの動く城」に出てくる炎の精霊・カルシファーを思い出してください。
喉が締まった声で「ハウル〜」と叫びます。
あの声を再現しようとすると、自然と喉が締まり、苦しそうな声が出ます。
この声こそが「作った声」なのです。
俗にいう「アニメ声」とは、このカルシファーを演じようとする際に喉を締める動きとあまり変わらない筋肉の作用があって出る声です。
なので「アニメ声」を出すと「作っている」などと言われ、「もっと普通に喋って。あなたの素の声で喋って」とも言われてしまうのです。
ちなみにカルシファー役の我修院達也さんは、もともとああいう喋り方の人なので、決して作った声ではありません。
また、普通に喋ってアニメのキャラっぽい声が出る女性声優さん達も、決して作っているわけではなく、普段の喉の使い方がそれになってしまっているだけなので、それはもう「素声」になってしまっている状態です。
何事も「継続は力なり」。
続けていけば、最初は頑張って維持しようとした状態が、特に意識しなくても維持してしまう状態になる。つまり、それがその人にとって普通になる。
「普通」とは、他人が他人が推し量る物ではなく、自分にとって楽な状態でいる、そのような物であると認識してください。
ただし、我々が表現しなければいけないのは、「視聴者やお客様が素直に受け入れてくれる芝居」です。
自分にとっては普通でも、他人に受け入れてもらわなくては対価をいただけない。
そんな商売です。
私は常々言っていますが、「10人中7〜8人がOKという表現をする」ことの重要性がここにあるのです。
長々と書いてきましたが、演じ分けをする上で最初の選択肢になるのが、「素声か否か」となります。
その点を考えながら、演じ分けのスタート地点に立ってみましょう。
次回は、演じ分けの次のターンについてご紹介します。
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